2005年7月 アザラシは潜水名人
 バイカルアザラシの展示水槽の前で、お客様から「アザラシが沈んで動かないけれど大丈夫?」という声をよく耳にします。しかし、アザラシの仲間は、餌を捕まえたり、外敵から身を守るために、深くて長い潜水ができます。潜水の距離と時間は、種類によって違いますが、キタゾウアザラシの1250m・62分、ウェッデルアザラシの600m・73分などの驚異的な記録もあるほどです。
 このような潜水ができるのは、体にいくつかの秘密があります。アザラシの体型は、水の抵抗を受けないように、出っ張りの少ない流線型をしており、水中でのすばやい動きを可能にしています。このため、耳も外耳がなく、小さな穴が開いているだけです。鼻は、水に潜る瞬間に閉じ、水が入らないようになっていて、深く潜り水圧がかかるとより強く閉じるようになっています。また、潜水するときには、浮力を抑えるために、吸った空気はほとんど吐き出してしまいます。その分、アザラシの仲間は体重当たりの血液の量が、哺乳類の中で最も多く、1回の呼吸でより多くの酸素を血液中に取り込むことができます。このために、空気を出しても長く呼吸を止めていられるのです。
 バイカルアザラシの故郷、ロシアのバイカル湖は、世界で最も深い湖で、水深1643mもあります。その環境下でバイカルアザラシは餌を求めて、300mまで潜ることもあり、時間にして、10〜20分間呼吸を止めていられるようです。ということで、潜水名人のバイカルアザラシが、水槽で沈んでいても、どうかご心配されませんように。

(濱野)


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