1993年07月 アシカの換毛

 夏の暑い時期、アシカ獣舎では、プールからオール状の前肢を出し、うちわの様にあおぎ、涼んでいる姿を見かけます。長時間夏の日ざしに照らされると、体温が上昇して熱射病になるからです。
 一方、アシカの体の表面にも変化があらわれます。朝、アシカの獣舎を清掃すると沢山の毛が落ちています。5〜8月は、アシカ達の年に1回の換毛の季節です。
 アシカの体は、水に溺れていると黒くつるつるして毛がないように見えます。ところが乾燥してくると、体全体が薄茶色のふわふわした毛でおおわれます。
 アシカの体毛は、堅くて長く毛根の深い刺毛(しもう)と、それを軸として取り囲むように生えている、短くて柔らかな繊維性の綿毛(めんもう)の二重構造になっています。さらに、刺毛のつけ根には皮脂腺という器管があり、そこから分泌される皮脂と綿毛によって、皮ふ表面まで水が侵入しない様、防水効果を高めています。
 アシカの換毛は、最初に綿毛が抜け、その後、刺毛が抜け換わります。また抜け方も、部分的に始まりゆっくりと体全体に広がるため、完了するまでには数ケ月かかります。一方アザラシの換毛は、刺毛と綿毛が同時に抜けるため、短期間で終了します。アザラシはその間陸上で暮らし、水中に入ることはほとんどありません。
 アシカの毛づくろいは、後肢に生えている爪で行います。目を細めながら体全体を手入れするしぐさはとても気持ちよさそうで、また愛らしく見えます。

 

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